Wednesday, July 9, 2025

自分の輪廻転生を見よう

 仏教の過去を見る智慧は、でっちあげの妄想ではありません。修行者が過去世を知る場合は、どんな名前だったか、どんな性格で何をして生活していたか、どれくらいの寿命だったかなどの事柄を明確に知っているのです。
なぜこれが仏教に役立つ智慧なのかというと、心を邪見から解放してくれるからです。過去を見ることができると、どこまで過去を遡っても自分が渇愛によって輪廻転生したこと、苦しみながら生きて生に未練を残しながら死んでいったことを発見できるのです。そして、生に未練がある限り、それが終わらないことも発見できます。
(p.329)
記憶がそれ以上思い出せない場合は、覚えている先の過去に飛ばずに、順番で思い出せるところまで遡ってみる。そういうふうにつなげて考えるのです。…我々がなぜ過去を思い出せないかというと、いつでも思い出しやすいことばかり思い出してしまうからなのです。
(p.334)

アルボムッレ・スマナサーラ『沙門果経』